元弁護士のライターとして、弁護士経験を活かし記事執筆に従事しています。(現在、弁護士会への登録を行っていないため「元」弁護士となります)
平成16年10月に弁護士登録。平成19年4月に法律事務所を開設。平成24年に体調不良により事務所を閉鎖。以後、法律ライターとして活動。
2020年も3月に入りました。2019年はさまざまなM&Aが行われました。注目すべきものとしてどのような案件があったのか、また業種としてどういった分野のものが多かったのかなど、総括してお伝えしていきます。
なお以下でご紹介する案件は2019年7月までのデータをストライク社が集計したものを元にしています。
2019年7月までの時点においてもっとも取引価額が大きかったM&Aはどのような案件なのでしょうか?
日本企業のM&Aで今年最大規模となっているのが、ビール大手の「アサヒグループホールディングス」による「カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)」の買収です。
CUBは、オーストラリアの大手ビール企業で、ビール世界最大手であるベルギーの「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」の子会社です。同社の売上規模は約1800億円。
この買収を機にアサヒはオーストラリアで「スーパードライ」など主力商品の販路拡大を目指します。買収額は約1兆2000億円となっており、2014年にサントリーが米ウイスキー大手であるビーム社を約1兆6000億円で買収したのに次ぐ大規模M&Aです。
2019年は、アサヒ以外にも日本企業によって活発に海外企業の買収が行われています。
たとえば「大阪ガス」はシェールガス開発に力を入れている「サビン・オイル&ガス・コーポレーション(アメリカ)」を買収しました。
また「早稲田アカデミー」はNYの学習塾を買収し、アメリカでの教育事業に進出していこうとしています。買収対象となったのは、ニューヨーク在住の日本人をターゲットにしている「SHINKENSHA U.S.A.」で、今後帰国生入試に力を入れていこうとしています。
日本企業同士のM&A最大案件は、京成電鉄による関東鉄道の買収、子会社化です。関東鉄道は、茨城県を中心に鉄道事業やバス事業を手がけている会社です。
京成電鉄と関東鉄道は、これまでにも各種情報交換や高速バスの共同運行、資材調達などで連携してきましたが、今回TOB(株式公開買い付け)によって京成電鉄は30.09%だった関東鉄道への出資比率を99%にまで高めます。
買付代金は最大で約35億4700万円となる予定です。
2019年、M&Aが活発に行われた業種はどのようなものだったのでしょうか?
多かったのはIT・ソフトウエア関連です。
2019年7月時点においてM&Aの件数は67件となっていますが、うちIT・ソフトウェア関連が20件近くに上っています。
たとえば「デジタルハーツホールディングス」がアメリカのLOGIGEARを買収、伊藤忠テクノソリューションズがインドネシアの2社を子会社化した案件などがあります。
フリマアプリの「メルカリ」が、プロサッカーチームの「鹿島アントラーズ」の経営権を取得した事例も見逃せません。
メルカリは2017年から鹿島アントラーズのスポンサー企業となっていましたが、今回は経営権の取得に踏み切りました。「鹿島アントラーズ」の運営企業である「鹿島アントラーズ・エフ・シー」の株式61.6%を取得、買収金額は約16億円とのことです。
M&Aによって日本企業の海外展開、日本国内企業同士の提携、子会社化、プロスポーツチームの買収なども実現されており、大変興味深いと思いませんか?
今後もさまざまなM&Aに関するニュースが飛び交うことでしょう・
更新日:2020-03-09