他社の子会社買収は、自社に不足している業務領域を補うために有効な手段です。2018年12月には、東邦ガスが他社のLP事業を買収することを発表し話題となりました。この買収により約1割の販売量が増加するといいます。
ただ買収事業を機能させるまでには、「買収した子会社を自社環境へ移行する」ステップが必要です。移行しやすい分野なら良いのですが、難しい分野があるのも事実でしょう。話題のM&Aに際する移行対象について解説します。
買収された会社は、これまで利用していたPCや電話、ネットワーク、データセンターなどのインフラ環境を切り替えていかなければなりません。移行の計画や実行には多くの労力をかける必要があり、費用もシステムなどの他領域よりも高くなる傾向にあります。
ただし難易度はそう高くはなく、計画立ててプロジェクトを進めたなら成功の確率は高くなるはずです。ただし環境を一斉に切り替えなければならない場合、移行リハーサルを行うなど、準備方法を工夫する必要があります。
システムの特性によって移行の難易度は大きく違ってきます。難易度が低いbのは、データの向き先を旧環境から新環境へ変更するなど、簡単な設定変更だけで対応できる場合です。
コストやインフラ面での利便性が高いことから、近年はクラウド環境を整えた会社も増えました。サーバのコピーから設定変更をすれば、開発工数を抑えられるでしょう。
最も移行が難しいケースは、システムの仕様がブラックボックスになっており、一つずつ調査しなければ移行できないケースです。通常なら設計書などから仕様を把握できますが、それらが成果物として残されていないこともあります。
あるいは変更が日々入るシステムで、管理しきれていない場合も状況把握は困難になるでしょう。多くの人員と費用を投入して、少しずつ先に進めていくという難解なプロジェクトになる可能性があります。
移行の難易度により、かかってくる費用や人材確保の必要性は大きく異なります。事業拡大の手立てとして一般化しつつあるM&Aですが、プラスの話題とマイナスの話題、その両面に目を向けるべきでしょう。買収後のことも考慮して意思決定を進めることが成功の鍵になります。
M&Aを行ったら、被買収企業は買収企業に合わせてシステムを変更・移行しなければならないケースが多数です。
簡単に変更できるケースもあれば、困難となる事例もあります。
M&Aの実行後に混乱が発生しないためには、事前にどういったシステム変更が必要か、ある程度リサーチしておくと良いでしょう。
労力面、費用面でコストがかかる可能性もあるので、そういった予算的な問題も視野に入れながらM&Aを進めていくと、M&A後の予想外の不利益を避けることが可能です。
更新日:2019-11-26