元弁護士のライターとして、弁護士経験を活かし記事執筆に従事しています。(現在、弁護士会への登録を行っていないため「元」弁護士となります)
平成16年10月に弁護士登録。平成19年4月に法律事務所を開設。平成24年に体調不良により事務所を閉鎖。以後、法律ライターとして活動。
一般に「M&A」「企業買収」というとまだまだ「敵対的買収」などのマイナスイメージが強く、地方の老舗企業からは敬遠されていると思われがちです。
実は先日、帝国データバンクがアンケート調査を実施し、中国地方でM&Aに関心を持つ企業がどのくらいあるのか調べました。すると、約3割もの企業が「M&Aに関心がある」と回答したのです。
日本の中でも中国地方の5県は特に人口の減少も激しく「過疎地域」が多いエリアです。ここでそれだけの企業がM&Aに関心を持っているならば、注目に値します。
今回は帝国データバンクによるアンケート調査結果の概要をお伝えするとともに、今後日本におけるM&A市場がどのような道をたどっていくのか、予測してみましょう。
先日、帝国データバンク広島支店が中国地方5県の企業を対象とした意識調査結果を発表しました。
調査対象となったのは、広島県、岡山県、島根県、鳥取県、山口県の5県内に存する1,237社で、有効回答があったのはそのうち545社です。
調査の結果「今後5年以内にM&Aに関わる可能性がある」と回答した企業が約3割に及びました。これまで地方部の企業はあまりM&Aに積極的でないイメージもありましたが、この結果からすると、必ずしもそうとも言えない実情が垣間見えます。
ただし「今後5年以内にM&Aに関わる可能性がない」と回答した企業は39%であり、可能性があると答えた企業よりも多数ではあります。
M&Aに「買い手」か「売り手」どちらの立場で関わりたいかという質問に対しては「買い手としてかかわる可能性がある」と回答した企業が19%、「売り手としてかかわる可能性がある」と回答した企業が7%となっており、自社を売りたい企業よりも買いたい企業の方が多い傾向が確認されました。
事業承継に悩んでいる企業は、通常売り手となることを考えるものです。買い手希望の企業が多いとことからは、自社の後継者を探すというよりも、M&Aを利用して自社の販路やエリア、シェアの拡大や事業内容の拡充を意識している企業が多数存在する可能性を読み取れます。
上記のアンケートでは、M&Aに際して重視する点についても回答を集めました。
これについては買い手希望企業、売り手希望企業ともに「金額の折り合い」が1位でした。確かに不本意な価額でM&Aを行ってもメリットを得られないので、これは当然の結果と言えるでしょう。
今回の中国地方の5県における企業の意識調査結果から、どういったことが言えるのでしょうか?
まず日本では既に地方部でもM&Aに関心を持つ企業がそれなりに多数存在することがわかります。保守的な地方部でもM&Aが受け入れられるようになれば、裾野が広がって今後M&Aがどんどん加速されていくでしょう。
また売り手企業としてではなく買い手企業として関わりたい企業が多かったことも興味深いと結果です。事業承継や事業再生などの理由ではなく「自社をもっと大きくしたい」「成長させたい」という積極的な経営者が多数いることがわかります。
日本では、今後ますますM&Aが活況となっていくのではないでしょうか?今後の情勢を見守っていきましょう。
更新日:2020-01-28