経済産業省 新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ

新型コロナウィルスで中小企業はどうなる?経済産業省の対応策とは

目次

新型コロナウィルスで中小企業はどうなる?経済産業省の対応策とは

経済産業省 新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ

経済産業省公式リーフレットhttps://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

※当サイトで情報収集した内容を元に作成しています。正確な情報は関係各所へのお問い合わせをお願いいたします。

昨今全世界で猛威を奮っている新型コロナウイルス。日本でもとうとう緊急事態宣言が発令されようとしていますが、ここで多くの人々が不安になるのが「仕事はどうなるのだろう?」「経営状況は悪化しないだろうか?」といったことだと思います。

既に大打撃を受けている経営者の方もいるかもしれませんが、特に中小企業の場合は懸念が大きいですよね。では、2020年4月6日現在、経済産業省がどういった対応策を取ろうとしているのか、事業者向けのお知らせをまとめてみました。

その① 資金繰り支援について

まず、新型コロナウイルスによって経営状況が悪化している会社に対する資金繰り支援について。これに関しては、大きく「信用保証」と「融資」に分けて解説されています。

信用保証制度を用いた資金繰り支援

今回の新型コロナウイルスによって打撃を受けた場合の信用保証制度は、大まかに「セーフティーネット保証」と「機器関連保証」があります。

  • セーフティーネット保証4号・5号
    これは経営の安定に支障が出ている中小企業者に対して、通常国や自治体が行っている一般保証(最大2.8億円)とは別に同額の保証が受けられるものです。4号は47都道府県を対象として借入債務の100%を保証、5号はとりわけ影響があるとされる業種を対象として80%を保証となっており、5号は売上高が前年同月比で5%以上、4号は20%以上減少していることが目安となっています。

  • 危機関連保証
    これは一般保証、およびセーフティーネット保証4号・5号とは別枠で保証されるもので、売上高が前年同月比で15%以上減少する中小企業、もしくは小規模事業者は上記に加えて更なる保証が受けられる可能性があります。合わせて最大5.6億円の保証となりますから、かなり大きいですね。

融資を用いた資金繰り支援

経営難から資金調達を行おうとしても、現在のような状況では金融機関や取引先から融資を受けるのは難しいですよね。そこで、そのような場合のために国が良心的な融資を実施しているようです。

  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付危機対応融資
    まず、当初3年間基準金利が0.9%引き下げられ、実質無利子、無担保で融資が受けられるのがこちらの方法。これは売上高が前年、または前前年の同期と比較して5%以上減少している場合、もしくは業績が3か月以上1年1か月未満であれば、過去3か月間の平均売上、あるいは令和元年12月の売上高、または10月~12月の売上高平均額に比べて5%以上減少している場合に適用されます。限度額は中小事業で上限3億円、国民事業で上限6,000万円です。

  • 特別利子補給制度
    上記の特別貸付を利用した事業者を対象に、利子を補給するもの。個人事業主は特に要件なしで受けられますが、小規模法人は前年同月比で15%以上、中小企業は20%以上売上高が減少していることが条件となります。

※小規模事業者であれば「マル経融資」を活用することで、最大1,000万円まで金利を0.9%引き下げられます。ただし、商工会や商工会議所の経営指導を受けなければなりません。

  • セーフティーネット貸付
    こちらは要件なしで融資が受けられるものの、基準金利が加算されます。どちらかといえば資金提供というよりは経営基盤の強化を目的で利用される融資です。

生活衛生関係の事業者は、別途融資制度が設けられている

前述した内容は一般事業者向けですが、例えば旅館業や公衆浴場、理髪店、美容室、クリーニング、飲食店、興行場といった「生活衛生関係」の事業者に関しては、別途融資制度が設けられているため注意が必要です。

  • 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
    これは基本的には前述した「新型コロナウイルス感染症特別貸付危機対応融資」と同じ要件となります。

※個人事業主や売上高が15%以上減少している小規模事業者、20%以上減少している中小企業などは「特別利子補給制度」として、更に利子補給が受けられる場合も。

  • 衛生環境激変対策特別貸付
    新型コロナウイルスの発生により、一時的に業績が悪化している旅館業や飲食店、喫茶店などを営業する事業主に向けた貸付制度。ここ1か月間の売上が昨年、もしくは前前年の同期に比べて10%以上減少しており、今後も悪化する見通しではあるものの、少しずつでも回復、発展が見込まれることが条件となっています。限度額は1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)、金利は1.91%ですが、、振興計画の認定を受けている生活衛生同業組合の組合員については0.9%引き下げられ、実質無利子となります。

※小規模事業者については「生活衛生改善貸付」を利用することで最大1,000万円まで金利を0.9%引き下げることが可能です。

このような保証、融資を行うため、国からは政府系金融機関に対して迅速、かつ積極的な対応を呼びかけているとのこと。ただし、注意しなければならないのは「条件に当てはまるからといって100%適用されるわけではない」ということ。保証や融資を受けるに相応しいかどうか必ず事前審査が行われますから、帳簿や登記などはしっかりまとめておいた方が良いでしょう。

その② 設備投資・販路開拓支援について

次に、生産性革命推進事業における設備投資や、販路開拓についての支援内容。新型コロナウイルスの影響で外出が難しくなっている関係上、在宅で仕事ができるテレワーク制を整え始めている会社も多いと言われていますが、その導入に取り組む事業者に関しても優先的に支援が受けられるようです。

1.ものづくり・商業・サービス補助
中小企業、小規模事業者を対象として、新製品やサービスの開発、生産プロセス改善などにおける設備投資費用を補助するというもの。上限は原則1,000万円となっており、特に小規模事業者へ優先的に補助が行われることになっています。対象事業者は公募によって選定されるため、希望する方は4月20日~5月20日の期限を守って申請してみてくださいね。

参考:ものづくり補助金事務局
http://portal.monodukuri-hojo.jp/

  1. 持続化補助
    主に小規模事業者を対象として、例えば店舗縮小のためにインターネット事業を強化する、旅館が自動受付機を導入するといった販路開拓を行うための支援。上限は50万円となっており、こちらも公募によって選定されます。現在既に受付が始まっており、6月5日が締め切りとなっていますから注意しましょう。

参考:全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
(または日本商工会議所https://r1.jizokukahojokin.info/)

  1. IT導入補助
    これは主に新型コロナウイルス対策としてテレワーク(自宅での仕事)を行うため、効率的なツールを導入したい中小企業や小規模事業者が対象となっており、上限450万円の補助が受けられるというもの。公募の二次受付開始が6月ごろ、締め切りが6月末ごろ予定となっており、受付から締め切りまでの期間が短めなので気を付けておきたいですね。

参考:一般社団法人サービスデザイン推進協議会
https://www.it-hojo.jp/2020emergency/

その③ 経営環境の整備について

最後に、経営環境の整備について見て行きましょう。取引先に対する配慮要請から雇用関連、税金の申告、公共料金の支払い、テレワークに関することなどが記載されているため、経営者の方にとっては非常に重要と言えるでしょう。

取引、納期等に関する配慮要請

まず、下請け会社や個人事業主との取引、工期の設定などに関する配慮要請については、以下のような記載がなされています。

下請け取引に関しては、現状を理由に本来支払われるはずの対価より低い代金を設定したり、コスト負担を考慮せず短い納期で発注や調達業務の委託を行ったりしないこと。また、今後も出来る限り下請け業者と従来どおりの関係性を保ち、納期や支払いに関して最大限に配慮しつつ柔軟な対応をすること。

個人事業主との取引では、万が一契約を変更する場合は下請振興法、独占禁止法及び下請代金法等の趣旨をふまえ、書面上に明確な報酬体系や支払期日を記載するなどして適正な対応を行うこと。また、今後も出来る限り従来の取引関係を維持した上で、急な発熱や体調不良によって納期が遅れるといったケースでは柔軟な対応を行うこと。

更に、官公需(国や地方公共団体が事業者を介して物品を購入したり、工事を発注したりすること)に関しては、柔軟な納期、および工期の設定を行い、迅速な支払いを行うこと。また、現状を鑑みて都度適切に予定価格の見直しを実施し、相談窓口における中小企業、小規模事業者からの相談には真摯に対応すること。

この他、上記が守られているか否か実態を把握するため、下請Gメンによる調査も実施されています。直接中小企業を訪問してヒアリングを行っているということなので、何か不安があれば問い合わせ先に連絡してみると良いでしょう。

雇用関連における特例措置、配慮など

では、雇用に関する対応策を見てみましょう。まず、事業活動を縮小せざるを得なかった事業主向けの「特例措置」として、雇用調整助成金が用意されています。

  • 雇用調整助成金の特例措置
    これは経営状況の悪化をはじめとした事情によりやむを得ず一時的な休業や事業活動の縮小を行った事業主が、労働者の雇用を維持しようと動いた場合に賃金や休業手当などの一部を助成金として最大100日分まで受け取れるというもの。

事業所を設置してから1年未満の事業者や雇用されて半年未満の労働者も対象となっており、業種にも幅広く対応しています。今後も更に助成の範囲を広げ、かつ助成率も上げる見通しが立っており、4月1日~6月30日までの分に関しては最大日数に含めず利用可能となるようです。

  • 保護者の休暇取得支援
    正規、非正規を問わず、労働基準法に基づいた年次有給休暇とは別途子どものいる従業員に休暇を取得させた場合は、支払った賃金相当額について助成金が受け取れる可能性があります。現在これは令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇が対象となっていますが、6月まで期間が延長される見通しです。

また、業務委託契約をはじめ個人で就業している人の場合も、申請して認められれば予定していた日数分、1日当たり4,100円の助成金が支給されます。ただし、あくまでも新型コロナウイルスにより学校が休校した、もしくは感染した子どもの保護者に向けたものです。

  • 休業を理由とした緊急の貸付対策
    失業、および休業を理由に収入が激減した方向けの貸付対策も行われます。一時的な「緊急小口資金」は個人事業主や学校の休業など特例がある場合は20万円、その他は10万円を上限として貸し付けられ、生活立て直しのための「総合支援資金」は単身なら月15万円、2人以上の世帯なら月20万円を上限に貸し付けられるとのこと。基本的には無利子ですが、後者の貸付期間は原則3か月以内です。

また、厚生労働省のホームページではテレワーク導入や休業、および労働時間変更への対応策について詳しくアドバイスが記載されていますので、そちらもご確認ください。

参考:厚生労働省ホームページ・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

更に、外国人の在留資格取り扱いも規定が変更されています。まず、「在留資格認定証明書」の有効期間を3か月から6か月に延長、かつ本国への帰国が困難な技能実習生は「在留資格変更手続き」が可能となっており、通常より長く滞在できるようになりました。

その他、32都道府県労働局及び労働基準監督署に対しては、現在の状況が不測の事態と見なされることをふまえて中小企業や事業者に対し、労働基準法第33条に基づく労働時間の延長をはじめ、労働施策基本方針における「その他の事情」に含まれることを念頭に置きながらの柔軟な対応が求められています。

税金や厚生年金、公共料金などの支払いはどうなる?

企業や個人事業主への支援、雇用に関しては前述した通りですが、気になるのが税金や厚生年金、公共料金の支払い。確定申告は起源もありますが、税金の納付によって困窮してしまうような状況の事業者も多いでしょう。

厚生年金は「猶予制度」が設けられている

厚生年金については、通常特例でなくとも猶予制度が設けられています。納付により事業の継続が困難になる場合は換価猶予(分割納付)の対象となるため、保険料の納付期限から6か月以内に管轄の年金事務所へ申請を行いましょう。

また、盗難や事業の廃止、休止や著しい損失などが理由になるのであれば、年金事務所経由で地方(支)局長へ申請することで納付の猶予が認められることもあります。国民健康保険、後期高齢者医療制度、および介護保険の保険料(税)に関しても同様の対応が受けられる可能性があるので、市役所もしくは国民健康保険組合に問い合わせてみてください。

税務申告・納付期限の延長

所得税や法人税は一般的に確定申告期間内に納めますが、今年は通常3月16日までの納期が4月16日までと、1か月延長されました。これに伴い、消費税の振替納税に関しても5月15日(個人事業主は5月19日)までに変更されています。

ただし、最新の情報では「4月16日以降も、新型コロナウイルスを理由とした何らかの事情がある場合には、それを記載することで柔軟に対応する」ということに。基本的には期限は守らねばなりませんが、万が一の事態に見舞われた時は無理に税務署へ行かないよう注意しましょう。

更に、災害や事業の廃止、著しい損失などを理由に納税(国税および地方税)自体が難しいケースでは、1年間の猶予が認められることもあります。悩む前に、まずは税務署に相談してみてくださいね。

公共料金の支払いについて

公共料金の支払いについては基本通常どおりですが、3月25日以降は電気、ガス、水道業者に対して柔軟な対応をするよう求められています。具体的には支払期日を1か月繰り延べ、その後も困窮が続くようなら状況に応じて相談を受け付けること、とのことです。

テレワークを導入するには?

不要不急の外出はしないように、との要請があり、多くの会社では在宅で勤務可能な「テレワーク」を導入しています。とはいえ、ネット環境が整っていればどんな仕事にも適用できる、というわけではありませんよね。そこで政府では、様々な支援事業を開始しています。

テレワークに関する情報提供・および支援策

  1. テレワークマネージャー派遣事業
  2. 時間外労働等改善助成金特例コース(テレワークコース)
  3. IT導入補助
  4. 税制面での支援

まず、総務省によるテレワークマネージャー派遣事業。これはテレワークの専門家が通信費のみ負担するだけで適切なアドバイスを行ってくれるというもので、2021年3月31日まで実施されます。

また、その他にも厚労省によるテレワークコース(新たにテレワークを導入した中小企業への支援)や導入補助、少額減価償却資産の特例としてテレワーク用設備に関する税金を緩和するなど数多くのサポートが実施されているため、可能な企業はこの機会に導入を検討してはいかがでしょうか?

海外関連の情報について

最後に、海外進出を行っている企業や検討していた企業の方に向け「ジェトロ(日本貿易振興機構)」のホームページにて中国の省市別支援策や世界的な市場動向をはじめ、様々な情報が共有されています。

参考:日本貿易振興機構「ジェトロ」(特集 新型コロナウイルス感染拡大の影響)
https://www.jetro.go.jp/world/covid-19/

また、海外への輸出入についても輸入に必要な「輸入承認証」や「関税割当証明書」、あるいは輸出に必要な「輸出許可証」や「輸出承認証」などの有効期限を延長できる可能性があるので、一度経済産業省のホームページを確認した上で問い合わせてみると良いでしょう。

少しでも悩みがあれば「経営相談窓口」にご相談を

2020年1月29日より、「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」が中小企業関連団体や政府系金融機関、支援機関など1050か所を拠点に開設されています。

ここでは国内外を問わず様々なケースについて「今後どうなる?」「今何をすればいい?」といった質問に丁寧に答えてくれますから、少しでも悩みがある方は以下の一覧からお近くの窓口を選び、ぜひご相談ください。

参考:相談窓口一覧(経済産業省ホームページ)
https://www.meti.go.jp/covid-19/sodan_madoguchi.html

あきらめ倒産する前に、会社が売れるうちに売ることも会社存続の選択肢のひとつです。政府・自治体の融資だけでなくM&A会社にもあわせて相談してみましょう。

会社売却を相談できる企業一覧はこちら

更新日:2020-10-19

この記事のURLをコピーする