元弁護士のライターとして、弁護士経験を活かし記事執筆に従事しています。(現在、弁護士会への登録を行っていないため「元」弁護士となります)
平成16年10月に弁護士登録。平成19年4月に法律事務所を開設。平成24年に体調不良により事務所を閉鎖。以後、法律ライターとして活動。
先日、人気衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOをヤフーが買収することが発表されました。
ZOZOと言えば社長の前沢友作氏が個人的に有名ですが、このTOBによって所有する株式の大半を売却し、退任するとのことです。
今回は、国内大手ECサイトであるヤフーによるZOZOへのTOBについて、詳しくみていきたいと思います。
今回、ソフトバンク傘下のヤフーが大手衣料品通販サイトである「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを買収すると発表しました。買収方法はTOB(株式公開買い付け)です。
これにより、ヤフーはZOZOの発行済み株式を最高50.1%まで買い付け、同社を子会社化する予定です。買収額が最大で4007億円となる大規模なTOBです。
ヤフー現在、アメリカのアマゾン、日本の楽天に次いで国内のECサイトとしては第3位の規模にあります。ヤフーの社長は「2020年代前半に、ヤフーをEC(電子商取引)国内ナンバーワンにする」という目標を持っており、今回の買収をそのステップの1つと捉えているようです。
実際、2018年におけるヤフーのEC事業の取扱高2兆3442億円でしたが、ライバルの楽天は3億4000万円であり現時点では大きな差を開けられています。
ZOZOの2018年における取扱高は3113億円でしたが、今回のTOBによってヤフーとZOZOのシナジー効果を引き出せればヤフーが取扱高を急増させ、楽天との差を大きく縮められるとの展望を持っています。
今回の発表によってZOZOの株価は急伸、ヤフー株も6%上昇しました。
ZOZOと言えば、創業者であり筆頭株主である前沢友作社長が個人的に非常に有名で、そのイメージが濃い会社です。その前沢氏は今回のTOBで退任し、所有するZOZO株(36.76%)も大半を売却してZOZOの経営から退く意向を示しています。
実際、ZOZOは前沢氏が創業から携わりここまで大きく育ててきた会社です。
当然ご本人には会社への愛着も強く、売却に際し思い悩んだようです。ただ最終的には「後任に託し、自分は新たな道を進む」と決断しました。今回のTOBによって多額のお金が手元に入ってくることもあり、しばらくは個人的な月旅行などに専念するとみられています。
ただしZOZOからは「創業者として今後もイベント等に参加する」とも発表されており、完全に関わりがなくなるわけではないようです。
ヤフーによると買いつけ価格は2620円であり、10月上旬の買い付け開始を目指しています。買い付け予定株式数の下限は発行済株式数の33.40%、上限は50.1%です。ただし完全に成立したわけではなく、今後の応募状況により、TOBが成立しない可能性もあります。
実はZOZOは、近年成長に陰りが見られていました。2019年3月期の連結純利益は前期と比べて21%減となっており、設立以来、初の減益をみせていました。
またZOZOTOWNが採用した割引サービスへの反発などがあり、有名なアパレル企業が撤退して出店数も減少していたようです。このような状況が、前沢社長へ愛着のある会社の売却を後押しした可能性もあります。
今回のTOBが実現すると、ZOZOを傘下に置いたヤフーがECサイトとしてどのような成長を見せていくのか、目が離せませんね!
更新日:2020-03-09