大企業に限らず、昨今では中小企業や個人事業主の間でも行われることが増えてきたM&A(会社同士の合併や買収)。しかし、専門家を頼らなければ基本的には難しいため、一般的には「仲介業者」を介すことになります。
仲介業者は買い手と売り手の仲立ちとなって、相手探しからM&Aの合意、成約までしっかりとサポートしてくれる存在です。とはいえ、もちろん無事成約できた場合には相応の報酬を払わなければなりません。それが「成功報酬」となります。
成功報酬は買い手側が売り手に支払う金額(売り手の総資産)から差し引いて支払われることが多いので、売り手側にとっては決してマイナスにはならないと思って良いでしょう。ただし、中には相談の時点で料金(1万円ほどが相場)がかかることもありますから、注意が必要です。
また、成功報酬の他に「着手金」がかかるケースもあるため、覚えておいてください。この着手金は基本的に企業と仲介業者の間でアドバイザリー契約(業者からサポートを受ける目的で行う契約)を締結したタイミングで支払われ、相場としては中小企業で50万円~100万円程度、規模が大きい場合は数百万円ほどだと言われています。
では、成功報酬は大体売却額の何割くらい支払えばよいのか?というと、よく使われる算出法が「レーマン方式」。これは最終的な成約金額によって掛ける割合が変わってくる方法で、売り手側にとっても買い手側にとっても非常に分かりやすいのが特徴です。
ただし、計算方法にはややコツがあるため、一般的な数値を例に挙げて見てみましょう。
この時「場合」ではなく「部分」なのがポイント。つまり、5億円以下の取引であれば成功報酬は売却額の5%となりますが、例えば10億円の取引だと、以下のような計算の仕方となります。
このように、ひとまず最低ラインの5億円の時点で計算して、その後残り5億円は10億円までのラインで計算される、ということです。10億円の取引の場合は全体の4%(4,000万円)を支払えばOK、と思う方も多いでしょうが、実際にはもう少しかかってしまうのですね。
レーマン方式はシンプルな算出法ではあるものの、少額であればあるほど成功報酬の割合が大きくなってしまう、という側面もあります。仲介業者を頼る際には、最終的に得られる利益はどの程度かをしっかり考えておきましょう。
M&Aの仲介業者に支払う費用としては、前述した通り相談料、着手金、成功報酬の3つが一般的です。しかし、成約までの途中で他にも料金が発生することもあります。一体どのような目的で支払われるものなのでしょうか?
お互いが納得のいくM&Aを行うためには、売り手側は自社の価値をしっかり把握し、買い手側も譲渡を受ける企業に問題がないかを調べなければなりません。
仲介業者以外に頼れる専門家がいればそちらに頼むという手もありますが、そういった心当たりがない場合は、仲介業者が力になってくれることでしょう。ただし、業者によってはこの時行われる「企業価値算定」や「買収監査」に別途手数料がかかることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
最終的な成功報酬の前に、基本的な合意が締結した時点で「中間報酬」が発生する仲介業者もあります。これは一般的に成功報酬の1割~3割程度が相場とされており、それまでに受けたサポートに対して支払われるものと考えておくと良いでしょう。
ただし、中間報酬を支払ったからといってその後のM&Aが確実に上手くいくとは限りません。あくまでもその時点までの料金となりますから、注意が必要です。
注意点としては、レーマン方式で算出されるからといって、どのような取引であっても仲介業者が受け入れてくれるとは限らない、ということ。多くの仲介業者では「最低報酬金額」が決まっており、それを下回る案件は受け付けてもらえないことがほとんどです。
中小企業に特化したM&Aの仲介業者もありますが、その場合も500万円~1,000万円程度が最低報酬金額の相場とされているため、特に個人経営の方は気を付けてくださいね。
更新日:2020-10-16