M&Aを進める中で買収価格が想定以上に高額となった場合などは、買収を断念せざるを得ないケースも出てきます。
そのため、企業買収を成功させるには、買収に必要となる相場感を早期につかむことが大切です。
ここでは、企業買収を行う際の最初の一歩となる、相場の把握について解説していきます。
M&Aにおける相場とは、買収あるいは売却のおおよその価格のことです。通常、買収を検討している企業が買収交渉を進めるにあたり最も高い関心を持っているのは買収価格でしょう。
最終的な買収価格の算出の前に相場を把握しておけば、資金面での心配は小さくなります。また万が一予想以上の金額提示があった場合でも、落ち着いて交渉に挑むことが可能です。
さらに、相場感を早期に把握しておくと、予算に応じた買収先の選定ができるメリットもあります。では、実際に買収価格の相場は、どのように算出すればよいのでしょうか?
もっとも簡単なのは株価(から算出する方法です。しかしこれは上場企業にしか使えません。未上場の中小企業の場合の相場把握方法には以下のようなものがあります。
資産と負債を時価換算し、その差額をもって株式価値とする方式です。将来の収益性は加味されませんが、計算が簡単であるため頻繁に用いられます。
DCFはDiscount Cash Flowの略で、「割引キャッシュフロー法」とも呼ばれます。会社が生み出す将来のキャッシュフローを推測し、時間コストで割り引いて現在の価値を導く方法です。
株価から株式価値を算出することが容易である点に着目し、同業の上場企業の株式価値と比較して、自社の株式価値を算出する方法です。市場の評価もある程度織り込んだ株式価値を算出できます。
買収にあたりM&A仲介業者を利用する場合は、M&A仲介業者の手数料相場も把握しておきましょう。
M&A仲介業者は、成功報酬として手数料を求めることが一般的です。買収金額の1%から10%程度が手数料の相場となっています。
依頼するM&A仲介会社により、数千万円の違いになることもあります。M&A仲介業者の手数料率は、早めに確認すると良いでしょう。
企業買収を成功に導くためには、相場を早期に把握することが重要です。M&Aにおける相場は、買収先企業の買収価格と仲介業者の手数料の2つに大別されます。どちらも買収交渉の早い段階で確認し、手続きを進めるようにしてください。
M&Aには大きなコストがかかります。買収企業の場合には売り手企業に売買代金を払わねばなりません。相手が非上場企業の場合には、株式や事業の適正な評価が必要です。
非上場株式の評価方法にはいくつかの手法があります。純資産方式や類似会社比較法などが利用されるケースが多数です。素人の方が自分で計算するのは難しいでしょうから、税理士や会計士などの専門家に相談するのが良いでしょう。
M&A仲介会社が税理士や会計士と提携していることもよくあるので、迷ったときにはM&A専門会社に相談してみるのも1つの方法です。
更新日:2019-11-24