2019年2月15日、三菱商事株式会社はイギリスのOVO Group社と資本業務提携することを発表しました。同社はOVOに20%を出資するとともに、経営にも参画することになります。
OVOは、電力やガスの小売事業と、再生可能エネルギー事業を展開する企業。三菱商事はOVOに対し、デジタル技術を活かしたエネルギー・サービスのプラットフォーマーとしての役割を期待しているのです。
実際に、OVOでは家庭にある蓄電池、電気自動車に蓄えられた電気を一元管理・遠隔制御するという、革新性の高いソフトウェア開発も行っています。電気自動車に蓄えておいた電力を家庭で利用するいわゆるV2H(Vehicle to Home)においても、OVOが持つ強みを発揮できるでしょう。
三菱商事に限らず、商社各社は資源高を背景に業績を急回復させています。しかし、今後も資源高に頼った成長戦略を描くのは困難でしょう。米中の貿易摩擦を背景に、資源需要は今後先細ることも懸念されているからです。三菱商事がOVOを買収してエネルギー事業を拡大させることも、資源に頼る事業展開に暗雲が立ち込めていることの裏返しといえるかもしれません。
日本国内では、太陽光を中心に再生可能エネルギーの普及を目指してきましたが、まだまだ十分であるとはいえません。しかし、ESG投資への注目が集まるなか、企業には再生可能エネルギーをより一層普及させる役割が期待されます。エネルギー資源に乏しい日本において、再生可能エネルギーが持つ可能性は決して小さくはないのです。
三菱商事が、今後国内で普及促進が期待される再生可能エネルギー分野においてどのような存在感を示すのか。OVO Group社との資本業務提携はその試金石になり得るか、注目したいところです。
更新日:2019-11-26