トヨタとスズキが資本提携M&Aが企業生き残りのカギとなる!

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トヨタとスズキが資本提携!
M&Aが企業生き残りのカギとなる!

福谷陽子
法律ライター 福谷 陽子
監修者

元弁護士のライターとして、弁護士経験を活かし記事執筆に従事しています。(現在、弁護士会への登録を行っていないため「元」弁護士となります)

平成16年10月に弁護士登録。平成19年4月に法律事務所を開設。平成24年に体調不良により事務所を閉鎖。以後、法律ライターとして活動。

日本の主要産業といえば、やはり「自動車」ではないでしょうか?
自動車メーカーだけではなく、部品やシステム、燃料等を含めて国内には自動車関連の業種や会社が非常に無数に存在し、「自動車産業が傾けば日本の産業全体が傾く」ともいわれます。

2019年8月28日、日本の主要自動車メーカーであるトヨタ自動車とスズキが資本提携を行うと発表しました。両社は今後、協同して自動運転技術の開発に取り組んでいくとのことです。

今回はトヨタとスズキの資本提携のトピックをもとに、M&Aの持つ意味や可能性について考えてみたいと思います。

1.トヨタとスズキの資本提携の概要

今回、トヨタとスズキが資本提携を発表しましたが、その内容はどういったものだったのでしょうか?

トヨタは約960億円でスズキ株式の約4.9%を取得し、スズキは約480億円でトヨタの株式を保有するとのこと。
実はトヨタとスズキは過去にも業務提携を行って共同開発等を行っていましたが、今回資本提携にまで関係を深めることにより、協働関係をより一層強化したい考えです。

2.両社の資本提携の背景にあるもの

日本の自動車産業界では、従来「トヨタ一強」のような印象もありました。しかし近年ではEVの台頭により、ハイブリッドに力を入れていたトヨタの勢いが弱まり、EVに力を入れてきた日産などの企業が力をつけてきています。国産車のみならず外国車も電気自動車に力を入れており、最近では路上でも輸入車の電気自動車をよく見かけるようになったのではないでしょうか?

現在、自動車産業界では自動運転技術の開発や燃料コストを削減するための新動力源の研究など、非常に高度な技術開発が求められており「100年に一度」とも言われる変革期の渦中にあります。

このような中、トヨタは自社1社のみの力では生き残りが難しいと判断し、他メーカーとの連携を強めて熾烈な競争を勝ち抜こうとしています。
一方スズキは、自動車メーカーとしては中堅企業です。小型車は得意としていても、巨額の投資をつぎこんでの研究開発などは困難です。そこで大会社であるトヨタの資本を受け入れ、自社の生き残りを図っています。今回の資本提携も、形としてはスズキ側からトヨタ側へと申し入れを行ったようです。

3.自動車メーカーでは資本提携や解消が相次いでいる

実は自動車メーカーは、資本提携や解消の非常に多い業界です。
たとえばトヨタは2017年、マツダとも資本提携を行って約5.1%の出資を行っていますし、SUBARUとも資本提携し、その株式を約16.8%保有している状況です。
スズキの方も、2009年にドイツのVWと資本提携し、2015年に解消した経緯があります。
今回のM&A当事者ではありませんが、日産も2016年10月に三菱自動車株式の約34%を取得し、買収しています。

4.企業の生き残りや発展のため、M&Aの有効活用を

このように自動車メーカーが資本提携や解消を繰り返すのは、いずれも自社の生き残りや発展を狙ってのこと。M&Aは、企業の生き残りに必須の戦略的ツールとなっているのです。

日本企業が国際競争を勝ち抜いていくためにも、M&Aの積極的な有効利用が必須となってくるでしょう。

更新日:2020-01-28

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